今日は恋愛に関するちょっと面白い研究を紹介します。
論文「Sex differences in mate preferences revisited: Do people know what they initially desire in a romantic partner?」は、Peter W. EastwickさんとEli J. Finkelさんが2010年に行ったもの。彼らは、「私たちが最初に理想だと思う恋愛相手って、本当にそれが理想なの?」という疑問を調べたんです。
研究の背景
恋愛に関する研究ってたくさんありますが、その中でも特に興味深いのが、進化心理学という分野です。この分野では、男性と女性が恋愛相手に何を求めるかが異なる理由を、進化の過程で説明しています。
例えば、男性は見た目の魅力を重視し、女性は相手の経済力や地位を重視するとされています。これは、私たちの祖先がそれぞれ異なる生殖戦略を取っていたからだと言われています。
でも、EastwickさんとFinkelさんは、「それって本当なの?」と疑問に思いました。私たちが実際に恋愛相手を選ぶときに、本当にそんな単純な基準で選んでいるのかを調べたんです。
研究の方法
彼らは、スピードデーティングという方法を使って研究を行いました。スピードデーティングは、短時間で多くの異性と会話をするイベントです。数分間の会話を通じて、お互いを評価し、興味があるかどうかを判断します。この方法を使うことで、参加者が実際にどのような相手を選ぶのかを観察することができました。
研究の最初に、参加者たちに理想のパートナーについて質問しました。例えば、「理想の彼氏はどんな人?」といった感じです。そして、スピードデーティングの後で、実際に選んだ相手がその理想にどれだけ一致しているかを調べました。
研究の結果
結果は驚きでした。
事前の質問では、男性も女性も、従来の進化心理学が示すような基準を挙げていました。男性は見た目の魅力を、女性は経済力や地位を重視すると答えました。
しかし、実際のスピードデーティングでの行動を見ると、話は違いました。
男性も女性も、見た目や経済力だけでなく、共通の趣味や会話の相性を重視していたのです。つまり、私たちが事前に「これが理想の彼!」と思っていることと、実際に惹かれるポイントは違うかもしれない、ということがわかったんです。
研究の考察
この結果から、EastwickさんとFinkelさんは、人々が自分の理想のパートナーについての認識が必ずしも正確ではないと結論付けました。私たちは頭の中で理想のパートナー像を描いていますが、実際に出会うとその理想とは異なる基準で相手を選んでいることが多いのです。
例えば、友達と「私の理想の彼氏は背が高くて、お金持ちで、優しい人!」と話していたとしても、実際に恋に落ちるのは、背の高さやお金とは関係なく、一緒にいて楽しい人かもしれません。
これは、理想のパートナー像と実際の恋愛感情の間にはギャップがあるからです。
恋愛の不思議
この研究は、恋愛における「理想」と「現実」のギャップを示しています。私たちは理想のパートナーについて話すとき、進化心理学の理論に基づいた基準を挙げがちです。でも、実際に恋愛をする場面では、もっと人間らしい感情やフィーリングが大切になるのです。
例えば、スピードデーティングのような場面では、見た目やお金よりも、会話が弾むかどうか、一緒にいて居心地が良いかどうかが重要になります。これは、恋愛が理論だけでは割り切れない、人間らしい感情と直感が織り成すドラマだからです。
まとめ
EastwickさんとFinkelさんの研究は、恋愛における理想と現実の違いを明らかにしました。私たちが頭の中で描く理想のパートナー像は、実際に恋に落ちる相手とは違うことが多いのです。
これは、恋愛が単純な基準だけでなく、感情やフィーリングによって決まる複雑なものであることを示しています。
この研究を通じて、私たちは自分の恋愛観について見直すきっかけを得ることができます。理想の彼氏を追い求めることも大切ですが、実際に恋に落ちたときの自分の感情を大切にすることも忘れないでくださいね。恋愛は理論だけでは説明できない、素晴らしいドラマですから。