恋愛の世界には、色々な戦略や誘惑が存在します。特に、既にパートナーがいる人に対するアプローチ、いわゆる「メイトポーチング」は非常に興味深いテーマです。
今回は、SchmittとBussによる論文「Human mate poaching: Tactics and temptations for infiltrating existing mateships」を元に、既に誰かと付き合っている人を狙う戦術とその魅力について解説します。
メイトポーチングとは?
まず、「メイトポーチング」とは何かを説明しましょう。簡単に言えば、既に誰かと付き合っている人を自分の恋人にしようとする行動のことです。たとえば、友達の彼氏に惹かれてしまい、その彼氏を自分のものにしようとすることもメイトポーチングの一例です。
なぜ人はメイトポーチングをするのか?
人がメイトポーチングをする理由は様々です。心理学者のSchmittとBussは、この行動には以下のような理由があると述べています:
魅力的なパートナーを得るため:
既に誰かと付き合っている人は、そのパートナーから見て魅力的である可能性が高いです。つまり、その人を手に入れることで、自分も素晴らしいパートナーを得られるという考え方です。
競争心:
人は競争心から、他人が持っているものを欲しがることがあります。これは恋愛においても同じで、他人のパートナーを奪うことで、自己評価が上がると感じることがあるのです。
冒険心と刺激:
既に付き合っている人を狙うことは、スリルや刺激を感じさせるものです。特に、安定した関係に飽きている場合、こうしたリスクを伴う行動に魅力を感じることがあります。
メイトポーチングの戦術
では、具体的にどのような戦術が用いられるのでしょうか?SchmittとBussは、メイトポーチングにおける戦術をいくつか挙げています:
魅力をアピールする:
自分の魅力を最大限に引き出し、相手にアプローチします。例えば、おしゃれをして魅力的に見せたり、知的な会話で相手を引きつける方法があります。
感情的な支えになる:
相手のパートナーが提供できないような感情的なサポートを提供します。たとえば、相手が悩んでいるときに相談に乗ることで、信頼関係を築くことができます。
身体的な接触:
適度な身体的接触を通じて親密さを高めます。ハグや手をつなぐなど、微妙な触れ合いを利用して、相手との距離を縮めます。
誠実さを見せる:
自分の誠実さや真剣さを示し、相手に対して本気であることをアピールします。これにより、相手に「この人は自分に真剣だ」と感じさせることができます。
メイトポーチングのリスクと影響
しかし、メイトポーチングにはリスクも伴います。まず第一に、倫理的な問題があります。他人の関係を壊す行為は、当然ながら周囲に悪影響を与えます。また、成功したとしても、新しい関係が長続きする保証はありません。
さらに、相手のパートナーや自分の友人関係にも亀裂が入る可能性があります。これらのリスクを考えると、メイトポーチングは一時的な欲望を満たすための危険な行動とも言えるでしょう。
最後に
恋愛において、誰かに惹かれることは自然なことです。
しかし、その感情が既に誰かと付き合っている人に向けられたとき、冷静に自分の行動を考えることが大切です。メイトポーチングは一見魅力的に見えるかもしれませんが、その裏には多くのリスクと影響が潜んでいます。
SchmittとBussの研究は、この複雑な恋愛行動の背景を理解するための重要な手がかりを提供してくれます。恋する気持ちを大切にしつつ、他人の気持ちや関係にも配慮することが、健全な恋愛を築くための鍵となるでしょう。